
砥石の産地・伊予砥部で、砥石屑を原料に安永六年(一七七七)白磁の焼成に成功。ぽってり厚手で丈夫な白磁に、呉須の藍で唐草・太陽文を描く。特別でなく、ふつうの日のための「日用の美」。昭和五十一年、国指定伝統的工芸品。
捨てるものから、日々の器へ。
伊予・砥部。ここは古くから、刃物を研ぐ「伊予砥(いよと)」——良質の砥石の産地だった。安永のころ、その砥石を切り出すときに出る「砥石屑」を、捨てずに焼き物の原料にできないか。大洲藩がその試みに挑み、苦心のすえ、安永六年(一七七七)、白い磁器の焼成に成功する。捨てられていた石くずが、白磁の器に生まれ変わったのだ。
砥部焼は、華やかな名品とは少し違う。ぽってりと厚みのある白磁に、呉須(ごす)の藍で唐草や太陽の文様を、のびやかに一筆で描く。厚いから欠けにくく、丈夫で、毎日の食卓で気兼ねなく使える。特別な日のためではなく、ふつうの日のための器——「日用の美」である。
昭和五十一年、国の伝統的工芸品に指定された。作り手の名より、使う人の手になじむことを選んだ器。白と藍のあいだに、四国の暮らしがある。



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