
湯の町の竹。別府で手で編まれる真竹——湯治客の籠から人間国宝の芸術まで。大分唯一の伝統的工芸品。
別府は日本一の温泉地で、覚えているかぎりずっと、竹を編んできた。竹は真竹。大分は、その真竹を日本のどこよりも多く育てる土地だ。
江戸のころ、別府の湯に浸かりに来た人々は、滞在のあいだ竹の籠やざるを使い、土産に持ち帰った。湯治の道具が土産になり、やがて産業になった。
技は「編組(へんそ)」——竹を細いひごに割き、すべて手で編む。基本の編みは八つ、組み合わせれば二百を超える文様が生まれる。いまも温泉の蒸気のなかで竹を曲げ、仕上げる工房がある。
二十世紀、安い樹脂が暮らしの籠を消えかけさせた。かわりに竹は登った——一九六七年、別府の作り手が竹工芸ではじめての人間国宝になり、一九七九年、大分が唯一国に守る工芸となった。竹工芸を教える日本でただひとつの公立校も、この町にある。
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湯治客が竹籠を土産に持ち帰り、産業に。
別府の作り手が竹工芸初の人間国宝に。
伝統的工芸品に指定(大分唯一)。